「夏になると、元気だった多肉植物が次々とダメになってしまう」
「葉がジュレたり、徒長したり、どう管理すればいいか分からない」
多肉植物をこよなく愛するタニラーにとって、日本の蒸し蒸しした真夏は悩ましい季節です。
大切に育ててきた多肉植物が、高温多湿によってジュレってしまい一晩で見るも無残な姿になってしまうことも少なくありません。
しかし、心配することは有りません。
夏の多肉植物の特性と、いくつかの育て方のコツさえ押さえておけば、多肉初心者でも難なくに夏越しさせることができちゃいます!!
ここでは、なぜ夏に多肉植物がやすダメになりやすいのか、その原因から、具体的な置き場所、水やり、遮光などの対策、さらにはトラブルが起きてしまった際の復活方法まで、ご紹介していきます。
2025年の猛暑を乗り切るための完全版育て方ガイド!!
ぜひ最後まで読んで、大切な多肉植物と一緒に、元気に秋を迎えちゃいましょう~。
なぜ危険?日本の夏が多肉植物にとって過酷な理由

まず、なぜ日本の夏は多肉植物にとってこれほどまでに厳しい環境なのでしょうか。その理由は、多肉植物の故郷の気候と日本の夏の気候の大きな違いにあります。
多くの多肉植物の自生地は、日中の気温は高くても、夜間は涼しく、空気が乾燥している「砂漠地帯」や「高山地帯」です。
一方、日本の夏は「高温多湿」。夜になっても気温が下がらないという熱帯夜が続き、空気中の湿度も非常に高いのが特徴です。この蒸し蒸しとした環境が、多肉植物に様々なトラブルを引き起こすのです。
夏の3大トラブル!「蒸れ」「葉焼け」「徒長」
夏に多肉植物が枯れる原因のほとんどは、以下の3つ。
- 蒸れ(むれ)
- 症状: 葉がブヨブヨになり、半透明になって溶けるように枯れる(通称:ジュレる)。根が黒く変色し、株全体がぐらついてしまう(根腐れ)。
- 原因: 高温多湿の環境で土が乾かず、根が呼吸できなくなる。特に、水やり後に気温が上昇すると、鉢の中がサウナ状態となり、一気に症状が進行していまいます。致命的なトラブルです。
- 葉焼け(はやけ)
- 症状: 葉の一部が白や黒、茶色に焦げたように変色し、カサカサになる。
- 原因: 梅雨明けの急な強い日差しや、午後の西日に長時間当たることで、葉の組織がダメージを受けてしまいます。人間でいうところの日焼けと同じ状態です。
- 徒長(とちょう)
- 症状: 茎が間延びしてヒョロヒョロと伸び、葉と葉の間隔が広がること。葉の色が薄くなる。
- 原因: 葉焼けを恐れて日陰に置きすぎると、光を求めて茎が間伸びてしまいます。見た目が悪くなるだけでなく、軟弱に育つため病害虫の被害にもあいやすくなります。
これらのトラブルを防いであげることが、夏越しの成功に直結していきます。
【最重要】真夏の多肉植物|夏越し5つの基本ルールを知ろう

それでは、具体的にどのような管理をすれば良いのでしょうか。ここでは、夏越しを成功させるための5つの基本ルールをご紹介します。これさえ守れば、枯れるリスクを大幅に減らすことができます。
ルール1:置き場所は「風通し」と「遮光」が命!
夏の管理で最も重要なのが置き場所です。以下の条件を満たす場所へ移動させましょう。
- 直射日光(特に西日)を避けた、明るい日陰
- とにかく風通しの良い場所
【具体的な置き場所の例】
- ベランダ・軒下: 最もおすすめの場所です。雨ざらしにならず、直射日光を調整しやすいです。すだれや遮光ネットを活用しましょう。
- 室内: エアコンの効いた室内は快適に思えますが、日照不足と風通しの悪さから徒長や蒸れのリスクが高まります。猛暑で、もし室内に置く場合は、レースカーテン越しの窓辺で、必ずサーキュレーターや扇風機で風を送ってください。エアコンの風が直接当たる場所は避けましょう。
- 庭: 雨ざらしになる場所はNGです。大きな木の木陰など、涼しい場所に移動させましょう。
【遮光のポイント】
遮光は夏越しに必須のアイテムです。梅雨明け頃から9月下旬頃まで設置するのがおすすめです。
- 遮光ネット: ホームセンターや園芸店、100均でも手に入ります。遮光率は50%〜75%程度が目安です。エケベリアなど葉が薄いものは遮光率を高めに、ハオルチアなど比較的日陰を好むものも同様です。
- すだれやよしず: 日本の夏に昔から使われているアイテムも非常に有効です。見た目も涼しげです。
- 設置方法: 多肉植物に直接被せるのではなく、少し空間をあけて熱がこもらないように設置するのがコツです。
ルール2:水やりは「タイミング」と「頻度」を見極める
夏の水やりは、失敗すると即、根腐れに。ポイントはおさえておきましょう。
- タイミング: 夕方から夜の涼しい時間帯に与えるのがベストです。日中に水を与えると、日中の高温で鉢内が蒸し風呂状態になり、根を傷める最大の原因になります。
- 頻度: 断水気味に管理します。多くの多肉植物は夏に生育が鈍るか休眠するため、水をあまり必要としません。
- 目安: 月に1〜2回程度。土がしっかりと乾いてから、さらに数日待って与えるくらいで十分です。
- 見極め方: 葉に少しシワが寄ったり、張りがなくなったりしたら水やりのサインです。
- 与え方:
- しっかりと与えます。
- 量は、鉢底から水がでるまで。
- 葉の間に水が溜まると、そこから腐る原因になるので、ブロワーなどで吹き飛ばしてあげましょう。
ルール3:土と鉢は「水はけ」を最優先に
夏を乗り切るためには、水はけの良い環境が不可欠デス。
- 土: 軽石や鹿沼土などの多肉専用土の割合を増やした、水はけの良い土を使いましょう。市販の「多肉植物の土」に軽石などを2〜3割追加するのも〇。
- 鉢: 鉢の素材も重要。
- 素焼き鉢・テラコッタ鉢: 通気性・排水性に優れており、おすすめです。
- スリット鉢: 鉢底と側面の切れ込みから水が抜け、根のサークリングを防ぐため、根腐れ防止に効果的です。
- プラスチック鉢・リメイク缶: 乾きにくいので、水やりはより慎重に行う必要があります。
ルール4:肥料は
生育が鈍る夏に肥料を与えると、根が吸収しきれずに肥料焼けを起こしたり、土の環境を悪化させたりする原因に。肥料は、気候が良くなる秋に。
ルール5:植え替え・胴切り・葉挿しは秋まで待つ
植え替えや胴切り、葉挿しなどの作業は、多肉植物にとっては大きな負担になります。体力が落ちている夏に行うと、回復できずにそのまま枯れてしまうリスクが高いです。涼しくなる秋に行いましょう。
タイプ別!多肉植物の夏越し方法
多肉植物には、生育する季節によって「春秋型」「夏型」「冬型」の3つのタイプがあります。
タイプによって夏の管理方法が少し異なるため、ご自身の育てている多肉植物がどのタイプか確認してみましょう。
タイプ | 主な種類 | 夏の管理ポイント |
---|---|---|
春秋型 | エケベリア、セダム、グラプトペタルム、 パキフィツム、ハオルチア(軟葉系)など | 最も注意が必要なタイプ。 生育が緩慢になるか休眠します。 水やりは極限まで控え、葉のシワを確認してから夕方に与える程度にします。 徹底した遮光と風通しが必須。 |
夏型 | アガベ、アロエ、カランコエ、サボテン、 ユーフォルビアなど | 夏に生育期を迎えるタイプ。 比較的夏には強いですが、日本の高温多湿は苦手。 水やりは春秋型よりは必要ですが、必ず土が乾いたのを確認してから。 強い直射日光は葉焼けの原因になるので、適度な遮光は必要。 |
冬型 | アエオニウム、リトープス、コノフィツム、モニラリアなど | 夏は完全に休眠します。 原則として控えます。 涼しい日陰で、とにかく風通し良く管理し、静かに眠らせてあげましょう。 下葉が枯れていくのは生理現象なので、心配ありません。 |
【SOS!】夏の多肉植物トラブル対処法

万が一、トラブルが発生してしまった場合の対処法を知っておくことも大切です。
ポイントを押さえて、夏の多肉植物も楽しもう!

今回は、多肉植物の真夏の育て方について、原因から対策までご紹介してきました。
- 置き場所
- とにかく「風通しの良い明るい日陰」へ!
- 遮光
- 遮光率50〜75%のネットを活用!
- 水やり
- 夕方に、断水気味に!月に1〜2回が目安。
- 秋にしよう
- 植え替え、胴切りは秋に
日本の夏は、多肉植物にとっても私たちにとっても厳しい季節です。しかし、少しの知識と工夫で、ダメージを最小限におさえ元気よく夏越しすることができます。
「夏は多肉のお世話もお休み」くらいの気持ちで、水やりをぐっと我慢し、風通しのある涼しい場所で静かに見守ってあげましょう。
過酷な夏を乗り越えた多肉植物は、秋になるとまたイキイキとした美しいフォルムを見せてくれます。そのフォルムはまた格別です。
これまでを参考に、ぜひ大切な多肉植物の夏越しを成功させてください。